“幻の大豆”宇宙ステーションへ(産経新聞)

 ■神奈川県産「津久井在来」 自給率向上のシンボルに

 輸入大豆に押され、自給率がわずか6%(平成20年度)と低迷する大豆。そのうち、近年の改良品種ではなく、地域ごとに昔から作られてきた「地大豆」は全国に数百種類はあるといわれる。そんな中、“幻の大豆”といわれた神奈川県の地大豆に「甘くておいしい」と注目が高まり、食育の一環で現在、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する“偉業”をなし遂げている。(草下健夫)

 ◆驚きの展開

 「まさか、こういう展開になるとは…」

 神奈川県相模原市の農業、石井好一さんは、自身が栽培した地大豆「津久井在来」が宇宙にまで行った感慨を驚いた様子で語る。

 大豆をISSに運ぶ「宇宙大豆」プロジェクトは、「神州一味噌(みそ)」で知られる宮坂醸造(東京都中野区)が大豆を通じた食育活動の一環で、再来年の創業350周年を機に教育事業のリバネス(新宿区)などと共同で実現させた。

 宮坂醸造の杉浦孝則執行役員が石井さんらと交流を重ねるうち、津久井在来への熱意に心打たれ、数ある大豆の中から選んだ。

 津久井在来と、同社が原料に使っている山梨県産「ナカセンナリ」の各50粒が昨年8月29日、スペースシャトル「ディスカバリー」で打ち上げられた。現在はISSの実験棟「きぼう」で保管されており、4月18日ごろ、山崎直子宇宙飛行士が搭乗するディスカバリーで地球に帰還する。

 その後は津久井在来、ナカセンナリとも、それぞれの地元の高校生が栽培するなどして、自給率アップのシンボルにするという。

 ◆「確実にうまい」

 石井さんが津久井在来の栽培を始めたのは10年ほど前。当時はわずかの農家で少量しか栽培されず、自家用として味噌に加工される程度の“幻の大豆”だった。種を分けてもらい、農業仲間や農業体験に来る人々と協力して実らせたという。

 「出荷はというと、初めは鳴かず飛ばずだった」(石井さん)が、豆腐や納豆に加工してみた5年前が転機になった。「甘みがあって確実にうまいものだと分かって、びっくり。だからこそ、農家が自家用に味噌にしてきたのだと合点がいった」。報道などを機に、さまざまな加工向けに出荷するようになってきた。

 石井さんの住む土地は、18年3月に相模原市と合併するまでは「津久井郡津久井町」だった。石井さんは「消えゆく地名を、せめて大豆の名前で残したい」と、郷土愛の思いも込めて栽培しているという。

 「正直言うと、無重力に耐えるかどうかより、1年たった大豆が発芽するかの方が心配」と石井さん。気をもみながらも、「食育に生かされ、子供たちが科学への興味を深めるきっかけになれば」と期待を込めている。

 ■作付1位「フクユタカ」

 一口に大豆といっても、栽培に適した気候や加工用途などにより、多様な品種がある。農林水産省の資料によると、平成19年の大豆の全国作付面積は13万8300ヘクタール。このうち、最も多い品種は「フクユタカ」の3万1322ヘクタールで、東海や四国、九州の主力品種。タンパク質が多く、食感の良い豆腐が作れるとされる。2位は北陸に多く主に豆腐用の「エンレイ」。3位は北関東で多く、大粒で煮豆や納豆に適した「タチナガハ」。以下、「リュウホウ」「ユキホマレ」が続いている。

 産経新聞社は「ニッポンの食、がんばれ!」キャンペーン(www.nippon−shoku.com)を通じて食料自給率の向上を目指します。

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